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畠中恵『うずら大名』(2018年02月06日 火曜日 21時06分)
これ12月に買ったんだったっけな。 畠中恵さんの文庫新刊『うずら大名』。
 これまた新たなシリーズものなのかな。 今でも、長男は家を継ぐとかそういうのはあったりするけど、 江戸時代はそれがもっといろいろあって、 次男三男・・・ってなってくると継ぐ家もなく、 養子先を見つけたり自分で家を興したりしないとどうにもならないっていう時代。 そんな中、上の兄たちのいろいろのせいで、 思いがけず豪農で名主となった吉之助と、 同じくいろいろのせいで大殿様になった有月と、 有月の飼っている鶉の物語。
6章に分かれていて、ひとつひとつでお話として成り立ってもいるんだけど、 全体でひとつの話でもある。 泣き虫で有月に振り回されてばかりだけど優しい吉之助と、 吉之助に無茶ぶりばっかりしてるけどちゃんと考えることは考えてる有月と、 ただの鶉のようで何かいろいろ見通しているような佐久夜の、 ドタバタ劇も楽しいし、 有月に仕えてる左源太もかっこいいなと思うんだけど、 最後まで読み進めていくと、なんとも切ない結末が待っていた。
ネタバレになっちゃうので注意だけど、 全編通じて出てくる事件の犯人、 言われてみれば確かに、その人(たち)でしかありえないんだけど、 でも、犯人が分かったときに、すごい悲しい気持ちになった。 自分ではどうにもできない世の中で、 同じ仲間だったはずの者たちが、こうも道をわけてしまうのかと思うと、 すごい切ないなぁ。
まだまだみんなの活躍は見たいので、シリーズものなら続き早く読みたいな。
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